2007年7月23日付け日本経済新聞のコラム「ひと・ピープル」で、「現場信じる大切さ痛感」と題し、ディー・エヌ・エー社長の南場智子氏の談話が紹介されていましたが、その中にこんなエピソードが掲載されていました。要約すると…。
同社が携帯向け情報サイト「モバゲータウン」のCMを出すことになった際のエピソードです。氏は部下に「任せる」といって海外出張に出かけました。そして帰国後に出来上がったCMを見たところ、自分のイメージとは異なるものになっていたそうです。任せた部下に変更を指示したものの、担当者は聞き入れませんでした。結局、自分も任せるといった手前もあり、変更はしないことになりました。
結果は…。氏が「失敗した」と思っていたCMが流れ出して以降、サイトの会員数が急増したのだそうです。自分の指示通りに変更していたら、結果はひどいものになっていたに違いない…。氏は自分の読み違えを痛感しました。
氏の経験から、非常に大きな教訓を得ることができます。自分の会社は風通しがよくて上下意識の薄いフラットな組織だと強調する経営者は少なくありません。しかし、そう思い込んでいるのは経営者のみで、実際には自分の意に反することに対しては口を出し、捻じ曲げるということは、特に中堅・中小企業では多いのではないでしょうか。
確かに社長は、そのカリスマ性やリーダーシップにおいて一日の長があり、その経営の方向性を最も認識していることには間違いはないでしょう。しかし、時代の感覚に対しては、「自分は一歩一歩遠ざかっている」と、常に謙虚に持ち続けなければならないのではないでしょうか。「こんなもの」と思ったものが、実は顧客のニーズにあっていたという例は非常に多くあります。
自分が常に世の中の中心に座っているという感覚に陥らず、時代に応じて自分自身で軌道修正し続けられることは、経営者にとっては非常に重要な資質です。
今後さらに激しく揺れ動くであろう時代の変化の中で、ますます自分の想像を超えた人の考え方、行動が増えてくるでしょう。企業は環境適応業です。こうした変化にも対応し、謙虚に若者の意見にも耳を傾け、そして意見を尊重し我慢をするという訓練も、一層大切になってくるのではないでしょうか。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男
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