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相続税対策の効果が大きければ大きいほど、それが法律的に認められなかった場合、その損失は大きくなります。税の事はお近くの税理士にご相談下さい。 |
東京高裁は三和銀行(現UFJ銀行)の説明義務違反を認め、9億1,000万円の
支払を命じました。この裁判は、三和銀行から相続税対策として勧められ10億
円を借り、不動産を購入した都内の男性(故人)の妻が「銀行の説明義務違反
で損害を受けた」として約10億8,000万円の損害賠償を求めたものです。いった
い何が問題であり、何が説明義務違反だったのでしょう?
三和銀行は、バブル期に相続税対策として不動産の購入を勧めました。不動
産の相続税評価については、土地は路線価、建物は固定資産税評価額を基にし
て行っています。一般的に、路線価は時価の8割、固定資産税評価額は建築費の
6〜7割と言われていますので、不動産の購入により最低でも2割以上の評価減を
図ることができます。(賃貸物件等、不動産の利用状況により、更に評価が減
少する場合もあります)尚、本件は借入金にて購入していますが、自己資金で
も同様な効果が得られます。
現在でも、最もポピュラーな相続税対策として、賃貸建物の建築や賃貸物件の
購入は盛んに行われています。しかし、本件についていえば、時期が悪かったの
です。購入時期はバブル期であり、土地価額が高騰しており、現在より時価と路
線価の乖離は大きく、時価が路線価の2〜3倍という話は珍しくありませんでした。
よって、現在よりも相続税対策としては効果的だったのです。
しかし、その頃には、所謂“3年縛り”が存在していたのです。“3年縛り”とは、
相続発生前3年以内に取得した土地・建物等の相続税評価については、路線価
や固定資産税評価額によらず、取得価額にて評価するというものです。
本件では不動産購入後3年以内に亡くなってしまい、“3年縛り”の適用を受ける
ことになってしまったのです。折りしもバブルが崩壊し、土地価額は暴落しており、
相続税評価額(取得価額)が相続発生時の時価を上回るという最悪の結果となり、
本件の不動産購入による相続税対策は全く効果のないものとなってしまったのです。
もし、相続税対策提案時に、三和銀行が“3年縛り”について説明していれば、
銀行の説明義務違反を問われることはなかったのです。
本件は幸運にも訴えが認められましたが、実際には泣き寝入りしている人が
ほとんどです。相続税対策絡みでは、変額保険についても多くの裁判が起き、
かなりの社会問題となりました。
上記のように、対策時点での相続税効果が大きければ大きいほど、そのリス
クも大きくなる場合が多いといえます。よって、対策実行前には、専門家に相
談することを強くお勧めします。
※現在は、相続及び贈与時における自社株評価の場合を除き、“3年縛り”の
適用はありません。
(文:小田博敏)
2005.04.21 FZCN-News(第52号)より
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